キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる/佐々木 俊尚氏
プロローグ ジョゼフ・ヨアキムの物語
1章 無数のビオトープが生まれている
2章 背伸び記号消費の終焉
3章 「視座にチェックインする」という新たなパラダイム
4章 キュレーションの時代
5章 私たちはグローバルの世界とつながっていく
サブタイトルに「つながり」の情報革命が始まるとあるとおり、広告における情報の伝わり方、伝え方の変化やそれに伴う消費者の価値観の変化を、いくつかの事例と共に丁寧に記した本です。広告という観点で見るもよし、消費者という観点で見るもよし、そしてこの先の情報伝達について考えるもよしという良書だと思います。
個人的には1章の「無数のビオトープが生まれている」で紹介されているエピソードが印象深いです。ブラジル生まれの先鋭的なミュージシャン、エグベルトジスモンチを日本に呼び、いかにして会場を満席にしたか。ビオトープとは本来、「小さな生態系が維持されるための最小単位の生息空間」のような意味があり、この本の中では「情報を求める人が存在している場所」の意味として使われています。
この「情報を求める人が存在している場所」=「ジスモンチのファンが存在している場所」だとすると、どのようにして、そこに情報を伝達したのかが書かれており、非常に興味深く読みました。我ら地域情報サイトも、ある意味でビオトープに情報を伝達できるような媒体でありたいと思いますし、ビオトープが生まれる場所にならなければならないと思いました。
3章の「視座にチェックインする」もなるほどと思いました。これも非常に分かり易い例で記載されているのですが、映画「マルコビッチの穴」は、俳優のジョンマルコビッチの頭の中に15分だけ入れるという奇想天外な物語でした。マルコビッチの視点つまり視座から物事を見ることができるという。地井武男さんの「ちい散歩」も地井さんの視座から街を見ることができる番組です。
ブログの読者登録やTwitterのフォローなどは全てこの「視座にチェックインする」という行為にあたります。そして、本のタイトルにもなっている「キュレーター」とは、「視座」を提供する人たちのことです。普段、意識せずにネット上でおこなっている行為に関して、こんな見方があったのかと気付かされる本です。勿論、既に気付いている人にも、面白い本だと思います。
社員Y
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