以前、記事の中で何度か触れてきた「絶対達成する部下の育て方」を読み終えました。タイトルから連想されるような「部下やチームのマネジメント」としても活用できますが、営業に携わる人ならポジションを問わず、学べる本だと思います。
絶対達成する部下の育て方―稼ぐチームに一気に変わる新手法「予材管理」― 横山 信弘 ダイヤモンド社 2011-12-02 by G-Tools |
はじめに
Part1 「絶対達成」の第一歩は、目標に焦点を当てること
Part2 動かない部下が自ら動くようになる!「現状維持バイアス」を外す方法
Part3 「絶対達成」させる新マネジメント術──「予材管理」
Part4 「そよかぜ型」から「ツイスター型」チームへ変わる方法
Part5 「なくす」「まかせる」「短くする」で一気に業務改善! 営業日報は100%必要ない
Part6 今日から会議は「2週間に1回30分」だけにしなさい
おわりに
部下を持つすべての方へのメッセージ
まず、この本の主題は「目標予算を達成させること」です。以下のような場合、どちらの営業スタイルを選択しますか?との問いかけがあります。
1)毎日10時間労働 20件のお客様を訪問。目標予算100%達成する可能性が高い
2)毎日10時間労働 4件のお客様を訪問。目標予算90%達成で終わる可能性が高い
著者のセミナー参加者の多くは「2」を選択するそうです。理由は以下です。
「毎日20件のお客様を訪問するのは非効率。4件で90%の方が効率が高いし、20件回っても達成できるとは限らないから。」
この考え方に目標を達成できない大きな落とし穴があると著者は言います。ここで「2」を選ぶ人は、目標予算を達成させることが自分の仕事として腹に落ちていないと。よく見ると、「1」は100%達成する可能性が高いのです。「2」は達成できない上に、可能性が高いだけなので90%以下になることも考えられます。まぁ、この辺は「なんだ、文章のマジックかよ」と言う方もいるかもしれませんが、これはそんな小手先のマジックではなく、考え方の問題の話です。ここで揚げ足を取るような人は、永遠に目標達成できないと思います。
行動をすればそれだけ達成する可能性が高いことを把握していても、それまでの行動量を増やすことに抵抗を感じる営業マンが多いといいます。それは「現状維持バイアス」が働いているからだそうです。フューチャーリンクネットワークの朝礼でも度々話されることですが、誰しもが現状に甘んじている方が楽ですし、変化はときにストレスを伴います。現状維持バイアスとはまさにそのことです。
「100%達成しなくても90%達成すれば充分でしょう。」
「ある程度まではがんばったのだから仕方ない。」
「これだけやっても達成できないのだから、目標予算自体が間違っているのだ。」
など。現状維持バイアスにより、自分を納得させるための様々な言い訳が頭に浮かびます。この現状バイアスを外すにはどうすればいいか?について面白い考え方が記載されていました。現状バイアスにかかっているかの判断は、「転職してもそれをやるか?やらないか?」という問いかけをすることだそうです。例えば「営業会議の資料は完璧に仕上げ、必ず期限までに提出すること。会議に遅刻することは許されない」と言われたことに対し、現状は「資料で仮に抜けがあっても口頭で説明すればいいし、忙しいから少しくらい会議に遅れても仕方ない」と思ったとします。それを転職先の初日に同じことを言われた場合に、同じ行動を取るか?ということです。
話が現状バイアスに傾いてしまいましたが、目標を達成できない最大の原因は、「目標予算を達成する明確な意志がない」ためだと著者は説きます。達成するためには以下が必要となります。
●目標予算に焦点を当てる
●行動量を圧倒的に増やす
目標予算に焦点を当てる、ということはそもそも自分の抱えている目標予算を「あなたの名前は何?」という問いに答えるのと同じくらい瞬時に返答できるくらい、頭の中に浸透させておかなければならないといいます。これは当たり前のことですが、おそらく答えられない人は多いのではないでしょうか。
焦点を当てるためには、自分自身に対して、目標予算がいくらなのか常に自問自答しておく必要があります。そうやって浸透したら、今度は目標に対してどのくらい不足分があるかわかります。この不足分は「空白」として脳に認識されます。脳は空白があると、その空白を埋めたいという心理的欲求が働き、能動的に行動するようになるそうです。
このような「脳の空白の原則」を利用するという考え方は、個人的にはなかったので新鮮でした。それでも「空白は難しい」とか「目標が高すぎるから不可能」と思う人は、まだ目標予算に対して焦点が当たっていない状態にあるそうです。
・・・とここまで結構長く書きましたが、この内容は1章のほんの最初のページまでに書かれていることです。この後も非常に説得力のある内容で、絶対に目標を達成するための考え方、マネジメント、そしてこの本のポイントとなる予材管理などが書かれています。予材管理については、簡単に書くと以下のような考え方です。
●目標予算は「見込み」「仕掛り」「白地」の3つで管理する。
●「見込み」はほぼ達成確実。「仕掛り」はひょっとしたら。「白地」は種まき状態のもの。
●予材はこの3つを全て併せたもので、目標予算の200%積んでおく必要がある。
詳細は実際に本を読んでいただきたいのですが、面白いと思ったのが「白地」の考え方です。
●白地は別名「気合と根性」で「気合と根性」を定量表現したもの。
※例:気合で回ります!ではなく、100社を2ヶ月で回って100万円の数字を作ります!などと具体化していること。
ワークライフバランスという言葉が変に誤解され、ベタな営業活動を否定するような考えを最近よく目にしますが、この本では「気合と根性」と言い切っているのが逆に気持ちいいです。勿論、それだけではないきちんとした理由付けあってのことなので説得力が違います。
最近読んだ「新版 小予算で優良顧客をつかむ方法」とはまったく対極にある内容ですが、どちらがいいとかではなく、両者共に自分が仕事に活かせる内容が満載でしたので、これをきっかけにステップアップしていきたいと思います。
社員Y
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