今回は新しい商品・サービスを生むためのプロセスを知るための良書「1からの商品企画」をご紹介いたします。
1からの商品企画 西川 英彦 廣田 章光 碩学舎 2012-02 by G-Tools |
(目次)
第1部 探索的調査(商品企画プロセスインタビュー法 ほか)
第2部 コンセプトデザイン(アイデア創出コンセプト開発 ほか)
第3部 検証的調査(市場規模の確認競合・技術の確認 ほか)
第4部 企画書作成(販促提案価格提案 ほか)
この本は、元々岡田さんからお借りしたものでしたが、とりあえず重要な部分には付箋を貼っておきました(^^; 勿論、ノートにメモを書き写したら外してお返しいたしますが、興味・関心で読むような本ではなく、実際の業務で知っておかなければならない内容が満載でしたので、付箋の量も多めです。
本の冒頭にも記載されているように「1から学びたい」人向けということで、入門者にも非常に分かり易く書かれています。この手の本は、いわゆる教則本(教科書)という部類に属すると思うのですが、教則本が苦手な自分でも面白く読むことができました。その理由は豊富で身近な事例にあります。
まず、最初に登場するのがライオンのナノックスという液体洗剤。たまたま我が家でも、この洗剤を使っていたのですが、ライオンがこの商品の開発を始めたのが今から7年前(2005年)というから驚きます。その間のプロセスを簡単にまとめると以下のとおりです。
1)探索的調査(グループインタビューなどを実施して声を集める)
2)コンセプトデザイン(上記で発見した情報を元に、部内で商品に関するアイディア出し)
3)検証的調査(コンセプト決定後、顧客ニーズの調査を実施)
4)企画書作成(商品コンセプト、販促、価格、チャネル提案のまとめ)
この本の第4部にも書かれていますが、1~3まで数年かけていても、最後の企画書によるプレゼンでNGとなることも充分にあります。それを考えると、私たちが普段手にしている商品というのは、開発者側から見れば相当に重たいものであることがわかります。それを繰り返し生み出す力は、「弊社には無理だ」ではなく真似してでも生み出さなければならないと感じました。
事例としてはその他にも、銀行のATM、フェリシモ、TOTOのクラッソ、エースコックのJANJAN、ロッテのFit’s、サントリーのハイボール、花王のヘルシア緑茶など、一般的にとてもよく知られているであろう商品が生み出されるまでのプロセスが分かり易く記載されています。
この中で、特殊なのがサントリーのハイボールです。ハイボールというのは商品そのものではなく、ウイスキーの飲み方の一つに過ぎません。飲み方を提案することで、ウイスキーそのものの需要も回復させたという発想は、この事例の中では希少価値があります。
そんな数々の事例の間には、Rvingという立命館大学の学生グループによって企画・発売された「smart shelf」のプロセスも記載されています。この本をどうやって実践に活かせばいいか、のお手本のような記事なので、こちらも非常に参考になります。
今まで、自分自身はよく言えば「ひらめき」悪く言えば「思いつき」の発想が、とんでもないものを生み出すと思っていましたが、この本を読むと思いつきにも「根拠」が必要だと思い知らされました。何か新しいものを始めてみたいと思ったときに、協力してもらう相手を説得するにはどんな材料が必要なのか?そもそも、その新しいものは試してみる価値があるのか?をしっかりと考えるためのヒントが詰まった本です。
是非、ご一読されることをおすすめいたします。
社員Y
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