1987年に本国(イギリス)で初版が出版され、1995年に改訂されて以来、読み継がれている営業の原理原則本とも言うべき本です。
この本は部分的につまみ読みしては書棚に戻し…を繰り返し3ヶ月が経ちました。海外のビジネスの視点で書かれていようとも、20年前に初版が書かれていようとも、読む限りその内容は不変のものだと思います。こんな書き方をすると、営業に関する精神論とか、自己啓発的な本と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが違います。この本の最も興味深い点は以下です。
●豊富なデータにより営業と営業される側(顧客)の関係を観察している。
例えばクロージングについて。クロージングには様々な種類がありますが、クロージングを多用したときと、そうでないときの受注率の違いは?小型案件と大型案件での違いは?など。商談の初めにアイスブレイクは必要か?アイスブレイクを挟んだときの受注率の違いは?小型案件と大型案件での違いは?など。
営業なら誰もが普段行っているであろう行動が実は受注に深く関係していたり、実はまったく関係していなかったりがデータを元に分析されています。肝心のタイトルにもなっている「SPIN」の意味ですが、
相手の状況(Situation)を尋ねる質問
顕在する問題(Problem)を語ってもらう質問
問題が及ぼす潜在的な影響(Implication)を掘り起こす質問
ニーズの価値(Need-payoff)を顧客の言葉で言ってもらう質問
の4つの質問の頭文字です。営業に限らず、質問力のような書籍をよく見かけますが、20年前から既にこのようなことを提唱していた人がいたんですね。SPINの活用方法についても、当然詳しく書かれていますが、ここでは割愛。興味を持たれた方は是非、読んでみてください。